20代で歯を失った人は、約5~15%いるとされています。歯を失ってしまった場合には、入れ歯・ブリッジ・インプラントなどの欠損補綴治療(けっそんほてつちりょう)が必要になります。
実際に20代では、入れ歯・ブリッジ・インプラントといった各治療法の割合はどのくらいなのでしょうか。
この記事では、20代で失う歯の数や入れ歯を選ぶ人の割合、各治療法の特徴から、治療を選ぶ際の基準まで、知っておきたいポイントを分かりやすく解説します。
- 20代の喪失歯数
- 20代の入れ歯・インプラント・ブリッジの割合
- 20代の欠損補綴治療の選択基準
「20代の入れ歯・ブリッジ・インプラントの装着率」の結論
20代の入れ歯・ブリッジ・インプラントの装着割合を以下の通りです。厚生労働省が実施している「令和4年度歯科疾患実態調査」から引用し、グラフを作成しています。
20代においてはインプラント治療のみが行われているデータになっていますが、筆者の実感とは異なります。

歯を失った場合の治療法とは?
歯を失う原因はむし歯や歯周病、外傷、先天的な欠損などさまざまです。失った歯を補うための治療法は欠損補綴治療と呼ばれます。
欠損補綴治療には、入れ歯、ブリッジ、インプラントがあり、患者さんのニーズや状況に合わせて適切な方法が選択されます。20代では健康な口腔内を維持していることが多いですが、歯を失った場合には慎重に治療法を選ぶことが重要です。
20代で失う歯の数(喪失歯数)
20代で歯を失う本数は平均的には非常に少なく、1人平均喪失歯数は1本未満です。20代の抜歯原因は、多くの場合虫歯であることが推察されます。
- 20〜24歳
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0.3歯
- 25〜34歳
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0.4歯
欠損補綴治療について
欠損補綴治療とは、歯を失った際にその機能や見た目を回復するための治療です。主な治療法として入れ歯・ブリッジ・インプラントがあり、患者さんの健康状態や経済的事情、また失った歯の本数や部位によって選ばれます。
それぞれに耐久性や費用、メインテナンスのしやすさなどに違いがあるため、歯科医師と十分に相談して選択することが大切です。
20代と入れ歯の関係
20代で入れ歯を使っている割合は、全体からみれば少ないものの、事故や先天的欠如、重度のむし歯による抜歯などが原因で入れ歯が必要となる場合もあります。
20代の入れ歯の使用割合
20代の入れ歯装着者は、令和4年度歯科疾患実態調査によると0%です。筆者の実感としても、20代で入れ歯を使用している患者さんはごくまれです。

20代以外の年代別の入れ歯装着割合を知りたい方は、下記の記事をご確認ください。

入れ歯のメリットとデメリット
入れ歯の大きなメリットは、比較的低コストかつ短期間に歯の機能を回復できる点です。部分入れ歯なら他の歯を削る量も少なくて済みます。
しかし、デメリットとして装着時の違和感や、隣接する歯や歯ぐきに負担をかける可能性があります。また、20代という若い年齢層にとっては心理的な抵抗感が強い場合があります。
20代における入れ歯以外の欠損補綴治療の割合
20代では、入れ歯以外にもブリッジやインプラントが治療法の選択肢となります。
インプラントは顎の骨にインプラント体と呼ばれる人工歯根を埋め込む方法で、周囲の歯に与える影響が少ない治療法です。ブリッジは健康な隣接歯を削る必要がありますが、保険適用となる場合が多く、インプラントに比べ治療費を抑えることが可能です。
20代のブリッジの使用割合
令和4年度の歯科疾患実態調査によると20代のブリッジの使用割合は0%です。しかし、この値は統計調査のサンプルによる問題と考えられます。前回調査の平成28年度歯科疾患実態調査では、20代前半のブリッジ使用割合は1.4%、20代後半のブリッジ使用割合は4.7%となっています。
近年の喪失歯数の変化は、変わらないか微減傾向であることから、ブリッジの使用割合が大幅に減少することは考えにくいです。筆者の実感からしても、平成28年度の調査結果が現状を表していると思います。

20代のインプラントの使用割合
令和4年度歯科疾患実態調査によると、20代前半のインプラントの使用割合は0%、20代後半のインプラントの使用割合は2.6%です。
平成28年度の前回調査では、20代30代ともにインプラント装着割合が0%だったことを考えると、若年者で欠損補綴治療としてインプラントを選択する人が増えているといえるでしょう。

20代が欠損補綴治療を選ぶ際の基準
20代で入れ歯やブリッジ・インプラントなどの治療を選択する場合、補綴物の寿命である生存率や審美的な影響を考慮しなければいけません。
生存率
生存率とは治療した補綴物がどれだけ長く使えるかを示す指標です。
入れ歯の場合、10年程度で半数の入れ歯が再治療になるといわれています。インプラントの場合は10年生存率は約90%であり、入れ歯と比較すると生存率が高いです。ブリッジの場合は文献によりデータにばらつきがあり、約30〜90%の10年生存率と考えられています。
費用対効果
費用対効果は、治療のコストと得られる機能性や耐久性、審美性といった価値とのバランスを指します。20代で治療を受けたとすると、その後50年以上に渡って口腔内で機能しなければいけません。
入れ歯は初期費用が安いですが、長期的には作り直しやメンテナンス費用がかかることも。インプラントは初期投資が大きいものの、長期的には快適さや耐久性が上回ります。このバランスをどう重視するかが、治療法選びの大きなポイントとなります。

高額な治療も、長期間使用できることを考慮すると、一年あたりの金額は安くなることがあります。長期的な視点も大切です。
歯科医師からのアドバイス
20代はこれからの人生が長いため、どの治療法が適切か断定することは難しいでしょう。しかし、治療をせずに放置することは危険です。
インプラント治療は生存率の高い治療法ですが、20代前半では顎骨の成長がまだ停止していないこともあり、若年者では慎重な判断が必要です。入れ歯は、若年者にとっては審美的なハードルが高いかもしれません。
どのような治療法でも、長い人生のうちに再治療になる可能性が高いことを理解しておくことも重要です。決して治療費だけでは判断せず、将来的な歯の健康や治療のリスク、日常生活への影響などを総合的に判断して治療法を決定しましょう。
まとめ
20代における歯の喪失は珍しいケースですが、入れ歯やブリッジ、インプラントなどの欠損補綴治療が必要となる方も存在します。
欠損補綴治療は、審美性や機能性、費用、生存率などの何を重視するかによって選択する治療法が異なります。自身の状況と希望をしっかり把握し、信頼できる歯科医師に相談して最適な選択をしましょう。
Q&A
「20代の入れ歯・ブリッジ・インプラントの装着割合」に関連する質問を集めました。
- 20代で失う歯の本数(欠損歯数)は?
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20〜24歳の1人平均喪失歯数は0.3本です。25〜34歳の1人平均喪失歯数は0.4本です。
- 20代の入れ歯の使用割合は?
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20代の入れ歯の使用割合は0%です。
- 20代のブリッジの使用割合は?
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20代のブリッジの使用割合は0%です。
- 20代のインプラントの使用割合は?
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20〜24歳のインプラントの使用割合は0%です。25〜29歳のインプラントの使用割合は2.6%です。