自分のお口の状態が、同年代の人と違うのか気になりますよね。
本記事では、20代と30代の抜歯数と部分入れ歯・総入れ歯・ブリッジ・インプラント欠損補綴装置の装着割合をまとめました。
- 20代・30代が失う歯の本数(喪失歯数)
- 20代・30代の抜歯原因
- 20代・30代の入れ歯・ブリッジ・インプラントの装着割合
1分でわかる!20代・30代の入れ歯・ブリッジ・インプラントの割合と抜歯数

20代の1人当たりの抜歯数は0.3〜0.4本、30代の1人当たりの抜歯数は0.4〜0.6本です。
20代では、「むし歯」、「矯正治療のため」、「親知らずなどの埋伏歯」が抜歯原因の大部分を占めます。30代では、20代より「矯正」と「埋伏歯」が減少し、それらが減少した分だけ「むし歯」による抜歯が増加します。

歯を失った場合には、欠損補綴(けっそんほてつ)治療が必要です。欠損補綴治療は、部分入れ歯、総入れ歯、ブリッジ、インプラントの4種類があります。

20代の欠損補綴治療ごとの装着割合は、総入れ歯0%、部分入れ歯0%、ブリッジ0%、インプラント2.6%です。

30代前半の欠損補綴治療ごとの装着割合は、総入れ歯0%、部分入れ歯0%、ブリッジ6.7%、インプラント1.3%です。30代後半では、総入れ歯0%、部分入れ歯1.2%、ブリッジ4.8%、インプラント0%となっています。

20代・30代では、失う歯の本数が少ないため、さまざまな治療法を選べることから、入れ歯が積極的に使用されることは少ないということがわかります。
20代・30代が失う歯の本数(喪失歯数)
20代で失う歯の本数は、1人当たり0.3〜0.4本で、30代で失う歯の本数は、1人当たり0.4〜0.6本です。
本項では、20代と30代で起こる抜歯について詳しく解説していきます。
20代の平均抜歯数(喪失歯数)
20代で歯を失う本数は平均的には非常に少なく、1人平均喪失歯数は0.4本未満です。
- 20〜24歳
-
0.3歯
- 25〜34歳
-
0.4歯
20代で失う歯は、前歯と奥歯のどちらが多いのでしょうか?20代で抜歯になった歯を、歯の種類別に下記の表にまとめました。親知らずは除外しています。
| 25歳以下 | 25〜34歳 | |
|---|---|---|
| 前歯 | 5.2% | 9.7% |
| 小臼歯 (奥歯) | 66.5% | 24.4% |
| 大臼歯 (奥歯) | 28.3% | 65.9% |
| 合計 | 100% | 100% |
25歳以下の抜歯の約2/3は小臼歯(奥歯)で、抜歯矯正によるものがほとんどです。前歯が抜歯になることは少なく、約1/3が大臼歯(奥歯)となっています。
25〜34歳では、小臼歯(奥歯)と大臼歯(奥歯)の関係が逆転しています。矯正治療は若い年齢層が多いため、全体に占める抜歯矯正の割合が減少し、小臼歯(奥歯)の抜歯割合が減少しています。一方で大臼歯(奥歯)は、歯磨きがしづらくう蝕になりやすいこともあり、25〜34歳で失う歯の2/3を占めます。
30代の平均抜歯数(喪失歯数)
30代における抜歯数は1歯未満です。歯科疾患実態調査では抜歯について25〜34歳、35〜44歳という階級が設定されています。厳密には20代後半から40代前半までの抜歯数ですが、参考になることに違いはありません。
- 25〜34歳
-
0.4歯
- 35〜44歳
-
0.6歯
30代で失う歯は、前歯と奥歯のどちらが多いのでしょうか?30代で抜歯になった歯を、歯の種類別に下記の表にまとめました。親知らずは除外しています。
| 25〜34歳 | 35〜44歳 | |
|---|---|---|
| 前歯 | 9.7% | 19.5% |
| 小臼歯 (奥歯) | 24.4% | 24.5% |
| 大臼歯 (奥歯) | 65.9% | 56.0% |
| 合計 | 100% | 100% |
20代では少なかった前歯が抜歯されるようになってきていますが、依然として大臼歯(奥歯)が抜歯される割合が1/2を上回っています。
20代・30代の抜歯原因
20代、30代の両年代で、抜歯原因の第一位はむし歯で、原因の1/3〜1/2を占めます。20代・30代の抜歯原因を6つに分類し、以下に年代別の抜歯原因をグラフと表にまとめました。

- むし歯:歯が溶ける
- 歯周病:歯を支える骨が溶ける
- 破折:歯が折れたり割れたりする
- 矯正:矯正治療のために抜歯する
- 埋伏歯:親知らずなどの埋まっている歯を抜歯する
- その他:上記5つ以外
| 20〜29歳 | 30〜39歳 | |
|---|---|---|
| むし歯 | 37.5% | 46.6% |
| 歯周病 | 2.4% | 9.5% |
| 破折 | 3.0% | 6.5% |
| 矯正 | 7.6% | 2.2% |
| 埋伏歯 | 27.0% | 16.8% |
| その他 | 22.4% | 18.4% |
| 合計 | 100% | 100% |
20代では矯正の便宜抜歯や埋伏歯抜歯といったポジティブな理由での抜歯が多いことが特徴です。30代では20代と比べ、矯正の便宜抜歯と埋伏歯抜歯が減少し、その減少分だけほかの抜歯原因が増加する結果となっています。
歯を失ったときの治療法には何がある?
失った歯を補うための治療法を欠損補綴(けっそんほてつ)治療と呼びます。これには入れ歯、ブリッジ、インプラントなどの方法が含まれ、広義には矯正治療や経過観察が含まれます。

欠損補綴治療にはそれぞれのメリットやデメリット、特長がありますので、担当医としっかりとディスカッションをして、決定する必要があります。
部分入れ歯(部分床義歯)
部分入れ歯は、一部の歯を失った場合に適応される義歯です。歯を失った状態を「欠損」といいますが、部分入れ歯は1歯欠損から13歯欠損まで、幅広いシーンで使用されます。
総入れ歯(総義歯)
総入れ歯は、全ての歯を失った場合に使用する義歯です。上顎または下顎の全体を覆う形で作られ、口腔内の粘膜の形状に合わせて設計されます。部分入れ歯とは異なり、14歯欠損の場合のみに利用される入れ歯です。

いきなり総入れ歯になることは少なく、長い年月をかけて部分入れ歯から総入れ歯に移行します。
ブリッジ
ブリッジは前後の歯を土台とし、失った歯を含む被せ物を装着することで、失った歯を補う方法です。
インプラント
インプラントは、歯を失った部分の骨にインプラント体という土台を挿入し、その上に人工の歯(上部構造)を装着することで失った歯を補います。
欠損補綴治療を選ぶ際の基準
20代・30代で欠損補綴治療を選ぶ際には、長期的な視点を持って治療法を選択することが求められます。
治療費、生存率(寿命)、審美性、手術の有無は治療法によって異なります。
| 入れ歯 | ブリッジ | インプラント | |
|---|---|---|---|
| 治療費 | |||
| 生存率 | |||
| 審美性 | |||
| 手術の有無 | 手術なし | 手術なし | 手術あり |
本項では、治療法別の治療費、生存率(寿命)、審美性、手術の有無についてまとめ、筆者からのアドバイスを紹介させていただきます。
治療費・費用対効果
欠損補綴治療を選ぶ際、費用対効果も重要なポイントです。
インプラントは初期費用が高額ですが、長期的な視点で見れば、再治療の回数が抑えられることがあります。一方、入れ歯は初期費用は抑えられるものの、生存率の低さがネックです。ブリッジは状況によっては中程度の費用で、高い生存率を得られる点が特長です。
20代・30代という若い年代で選ぶ欠損補綴治療に、絶対的な正解はありません。それぞれの口腔内の状況、経済的な状況を踏まえ、歯科医師との密な相談が一番需要となるでしょう。
生存率(寿命)
治療法選択の基準のひとつとして、「生存率」、すなわち治療がどれだけ長持ちするかが挙げられます。一般的には10年後の欠損補綴物の生存率、つまり10年生存率が指標とされます。
10年生存率は、入れ歯で約50%、ブリッジで30〜90%、インプラントで約90%です。



ブリッジの生存率は文献によりばらつきが大きいです。日本の一般歯科における奥歯のブリッジの10年生存率は約30%とするデータもあります。
審美性
審美性とは、見た目への影響を意味します。
現在では、さまざまな治療法や材料が開発されており、どの欠損補綴治療でも審美的な装置が開発されています。「○○という欠損補綴治療は見た目が悪い」と言い切ることはできません。
しかし審美性は、「歯医者の技術」と「保険適用の有無」に大きく影響を受けます。見た目を重視するならば、審美歯科治療に強い歯医者を選び、自費による治療を選択するとよいでしょう。
一般的には、保険治療の部分入れ歯のクラスプと、保険治療のブリッジは金属でできているため、目立ちやすいです。
手術の有無
部分入れ歯・総入れ歯・ブリッジでは、手術は一般的には必要ありません。一方で、インプラントでは外科的な手術が必須です。
「手術は怖い」などの思い強ければ、インプラント以外の治療法を選択するとよいでしょう。
欠損補綴治療を行わない場合のデメリット
歯を失った本数が少なければ、欠損補綴治療を受けなくても患者さんの実感としては影響がないこともあります。しかし、欠損部を放置することにはいくつかのリスクがありますので注意が必要です。
- 欠損部の前後の歯を失う可能性が高くなる
- 欠損部の前後の歯が傾いてくる
- 欠損部の向かい合っている歯が伸びてくる
欠損部に治療を受けなかった場合、隣り合う歯の10年後の推定生存率は81%であり、19%の歯が抜歯になっています。
欠損部の前後の歯が傾いてくる(傾斜)確率は、研究によって結果が異なります。多くの歯で傾斜は認めるものの、明らかに問題になる傾斜を引き起こす確率は10%程度かもしれないといわれています。
欠損部の向かい合った歯が伸びてくる(挺出:ていしゅつ)確率も、研究によって結果は違います。ある研究では、欠損部を放置すると82%の歯が伸びてきてしまうという結果を示しています。
The consequences of not replacing a missing posterior tooth
Vertical position, rotation, and tipping of molars without antagonists
歯医者からのアドバイス
絶対に正しい治療法というものはありません。20代・30代では、先のことを見据えた治療法の選択が大切になります。専門家の意見を取り入れつつ、自身が納得できる治療法を選択することが重要です。
欠損歯が少ない場合では、インプラント治療がスタンダードとなりつつあります。その一方でインプラント治療には、高額な治療費と外科手術が伴う点を考慮しなくてはいけません。
治療法を決定する上では、まずは治療費の予算を決めるとわかりやすいです。保険治療のみで行うのか、自費治療を積極的に行っていくのかで、治療法の選択肢は大きく変わります。
治療費の予算を決めたら、生存率・審美性・手術の有無などを考慮し、最終的な治療法を決定するとよいでしょう。
さらに、信頼できる歯科医師と共に治療計画を立てることが、健康的な口腔環境を維持するカギとなります。



治療法の選択に絶対的な正解はありません。自身が後悔しないように、しっかりと相談してから決断することが重要です。
20代の入れ歯・ブリッジ・インプラントの装着割合
20代の入れ歯・ブリッジ・インプラントの装着割合を以下の通りです。20代においてはインプラント治療のみが行われているデータになっていますが、筆者の実感とは異なります。


20代の部分入れ歯と総入れ歯の使用割合
20代で入れ歯を使っている割合は、全体からみれば少ないものの、事故や先天的欠如、重度のむし歯による抜歯などが原因で入れ歯が必要となる場合もあります。
令和4年度歯科疾患実態調査によると、20代の入れ歯装着者は0%です。筆者の実感としても、20代で入れ歯を使用している患者さんはごくまれです。


20代のブリッジの使用割合
令和4年度の歯科疾患実態調査によると20代のブリッジの使用割合は0%です。しかし、この値は統計調査のサンプルによる問題と考えられます。前回調査の平成28年度歯科疾患実態調査では、20代前半のブリッジ使用割合は1.4%、20代後半のブリッジ使用割合は4.7%となっています。
近年の喪失歯数の変化は、変わらないか微減傾向であることから、ブリッジの使用割合が大幅に減少することは考えにくいです。筆者の実感からしても、平成28年度の調査結果が現状を表していると思います。


20代のインプラントの使用割合
令和4年度歯科疾患実態調査によると、20代前半のインプラントの使用割合は0%、20代後半のインプラントの使用割合は2.6%です。
平成28年度の前回調査では、20代30代ともにインプラント装着割合が0%だったことを考えると、若年者で欠損補綴治療としてインプラントを選択する人が増えているといえるでしょう。


30代の入れ歯・ブリッジ・インプラントの装着割合
30代で歯を失った場合の、入れ歯・ブリッジ・インプラントの装着割合を以下にまとめます。


30代の部分入れ歯と総入れ歯の装着割合
30代における入れ歯の使用者は少数派であるものの、30代後半では部分義歯を必要とするケースがしばしば見受けられます。欠損歯数が少ないため、統計上は総入れ歯の人はいないとされています。
日々の臨床実感としても少数ではありますが、部分入れ歯を装着している30代の患者様を見かけることはあります。その場合でも、大抵は1〜2本の少数欠損がほとんどです。


30代のブリッジの使用割合
全ての欠損補綴治療のうち、30代でのブリッジ使用している割合を以下に示します。30代で最も多い欠損補綴治療はブリッジです。


30代のインプラントの使用割合
令和4年における30代のインプラント装着割合を以下に示します。


年齢の増加に伴い、インプラントの装着割合は減少していますが、これは統計上の母集団による影響も考えられます。
筆者の臨床実感としても、35〜39歳におけるインプラント装着割合は0%ではないと考えます。少数ではありますが、30代後半でインプラント治療を行っている人はいらっしゃいます。
前回調査の「平成28年の歯科疾患実態調査」では、インプラント装着割合は、30〜34歳と35〜39歳の両方で0%でしたので、30代のインプラント使用割合は増加傾向にあると考えられます。
「20代・30代の入れ歯・ブリッジ・インプラントの割合と抜歯数」のまとめ
20代・30代の口腔内の状態は個人差が大きいものの、失う歯の本数が少なく、欠損補綴装置の装着割合も高くありません。目安として、20代の1人当たりの抜歯数は0.3〜0.4本、30代は0.4〜0.6本で、抜歯原因は両年代ともむし歯が最多です。
20代は、矯正治療による抜歯や埋伏歯(親知らずなど)の抜歯が目立ち、30代ではそれらが減る分だけむし歯を原因とする抜歯数が増加します。
入れ歯・ブリッジ・インプラントの装着割合は、20代では入れ歯は選ばれず、30代後半から部分入れ歯が少数の方に使用され始めます。必ずしも「入れ歯=高齢者」と決めつけることはできないと言えるでしょう。
「20代・30代の入れ歯・ブリッジ・インプラントの割合と抜歯数」のQ&A
- 若い人で部分入れ歯をしている人はいるの?
-
厚生労働省が行う「令和4年度歯科疾患実態調査」の結果によると、30代後半の1.2%が部分入れ歯を使用していることが分かっています。統計調査には載っていませんが、20代でも入れ歯を使用している人は、少数ですがいらっしゃいます。
- 部分入れ歯をしていることが周りにばれますか?
-
部分入れ歯をしているということが周りにばれるかどうかは、口腔内の状態と入れ歯の種類によって異なります。ノンメタルクラスプデンチャーなどの審美的な入れ歯では、入れ歯をしていることがばれにくいでしょう。奥歯の部分入れ歯より、前歯の部分入れ歯のほうが目立ちやすいです。
- 部分入れ歯は他の欠損補綴治療より不便ですか?
-
一般的には不便であることが多いでしょう。入れ歯とブリッジ・インプラントとの大きな違いは、取り外しができるかどうかです。入れ歯は取り外しができるという反面、不意に外れるリスクがあるという不便さがあります。また、ブリッジやインプラントと比べると、食べものをかみにくいことも分かっています。
- 部分入れ歯とブリッジではどちらがおすすめですか?
-
部分入れ歯とブリッジのどちらをおすすめできるかは、患者さんや歯医者の考え方や治療費に割ける予算によって変わります。一般的には、ブリッジがおすすめされることが多いですが、ブリッジでは治せない場合や、歯を削る量を極力抑えたい場合には、入れ歯が採用されることもあります。


