40代・50代で歯を失うと、「部分入れ歯がいいの?それともブリッジやインプラント?」と迷う方が多いはずです。
本記事では公的データをもとに、40代・50代で選ばれている治療法の割合を整理し、部分入れ歯・総入れ歯・ブリッジ・インプラントそれぞれの特徴と選び方をわかりやすく解説します。
- 40代・50代が失う歯の本数(喪失歯数)
- 40代・50代の抜歯原因
- 40代・50代の入れ歯・ブリッジ・インプラントの装着割合
1分でわかる!40代・50代の入れ歯・ブリッジ・インプラントの割合と抜歯数

40代の1人当たりの抜歯数は0.6〜1.4本、50代の1人当たりの抜歯数は1.4〜3.0本です。
40代と50代では、抜歯原因の三大疾患である、むし歯、歯周病、破折が抜歯理由の大部分を占めます。若年者とは異なり、矯正治療による抜歯はほとんど行われておらず、親知らずなどの埋伏歯抜歯も少数です。
抜歯原因の1位と2位が入れ替わるのも40代と50代の特徴です。年を重ねるつれ、むし歯による抜歯から、歯周病による抜歯に変化していきます。

歯を失った場合には、欠損補綴(けっそんほてつ)治療を行います。欠損補綴治療には主に4種類あり、部分入れ歯、総入れ歯、ブリッジ、インプラントが該当します。

40代・50代の欠損補綴治療ごとの装着割合を以下の表にまとめます。
| 年代 | 総入れ歯 装着者割合 | 部分入れ歯 装着者割合 | ブリッジ 装着者割合 | インプラント 装着者割合 |
|---|---|---|---|---|
| 40代前半 40〜44歳 | 0% | 0.9% | 10.3% | 0% |
| 40代後半 45〜49歳 | 0.7% | 0.7% | 13.1% | 0.7% |
| 50代前半 50〜54歳 | 0.6% | 5.2% | 24.5% | 3.2% |
| 50代後半 55〜59歳 | 0.7% | 8.8% | 31.4% | 2.9% |
加齢とともに失う歯の本数は増加していきますので、それに伴ってどの欠損補綴治療も増加傾向を示します。40代50代では、数本の歯を失うことはありますが、まだ喪失歯数は少ないです。
したがって、総入れ歯や部分入れ歯などの、喪失歯数が多い場合に用いられる治療法よりも、少数の喪失歯に対して用いられるブリッジが多用されています。
インプラント治療も増加していき、50代では約3%の方がインプラント治療を受けています。
他の年代の入れ歯・ブリッジ・インプラントの割合と抜歯数
他の年代の総入れ歯・部分入れ歯・ブリッジ・インプラントの割合と抜歯数を知りたい方は、下記の記事をご覧ください。


40代・50代が失う歯の本数(喪失歯数)
40代で失う歯の本数は、1人当たり0.6〜1.4本で、50代で失う歯の本数は、1人当たり1.4〜3.0本です。
本項では、40代と50代で起こる抜歯について詳しく解説していきます。
40代の平均抜歯数(喪失歯数)
厚生労働省の令和4年度歯科疾患実態調査によると、40代の1人平均喪失歯数は0.6〜1.4本です。統計調査の階級が40代で区切られてはいませんが、参考にはなるでしょう。
- 35〜44歳
-
0.6歯
- 45〜54歳
-
1.4歯
40代では、1人当たり1歯程度は歯を喪失していると考えられます。
では、40代で失う歯は、前歯と奥歯のどちらが多いのでしょうか?
40代で抜歯になった歯を、歯の種類別に下記の表にまとめました。親知らずは除外しています。
| 35〜44歳 | 45〜54歳 | |
|---|---|---|
| 前歯 | 19.5% | 23.8% |
| 小臼歯 (奥歯) | 24.5% | 22.4% |
| 大臼歯 (奥歯) | 56.0% | 53.8% |
| 合計 | 100% | 100% |
40代を含む35~54歳では、抜歯の約50%強が大臼歯で、奥歯を失いやすいことが分かります。
50代の平均抜歯数(喪失歯数)
50代になると、加齢と共に歯の喪失が増える傾向にあります。特に50代前半と50代後半では、喪失歯数に2倍の開きがあり、歯を失うスピードが早くなるのが分かります。
- 45〜54歳
-
1.4歯
- 55〜64歳
-
3.0歯
50代で失う歯は、前歯と奥歯のどちらが多いのでしょうか?
50代で抜歯になった歯を、歯の種類別に下記の表にまとめました。親知らずは除外しています。
| 45〜54歳 | 55〜64歳 | |
|---|---|---|
| 前歯 | 26.8% | 34.2% |
| 小臼歯 (奥歯) | 30.5% | 29.9% |
| 大臼歯 (奥歯) | 42.7% | 35.8% |
| 合計 | 100% | 100% |
50代では加齢に伴って、大臼歯以外の歯が抜歯されることが多くなっていきます。その結果50代後半では、歯の種類による抜歯割合に差はほとんどありません。
40代・50代の抜歯原因
40代の抜歯原因の第一位はむし歯で、50代の抜歯原因の第一位は歯周病です。40代までは、むし歯が抜歯原因の第一位を独占しているのですが、50代でむし歯と歯周病の順位がついに入れ替わります。

- むし歯:歯が溶ける
- 歯周病:歯を支える骨が溶ける
- 破折:歯が折れたり割れたりする
- 矯正:矯正治療のために抜歯する
- 埋伏歯:親知らずなどの埋まっている歯を抜歯する
- その他:上記5つ以外
| 40〜49歳 | 50〜59歳 | |
|---|---|---|
| むし歯 | 39.3% | 30.9% |
| 歯周病 | 26.2% | 40.0% |
| 破折 | 15.4% | 18.9% |
| 矯正 | 0.5% | 0.3% |
| 埋伏歯 | 6.2% | 2.2% |
| その他 | 12.4% | 7.6% |
| 合計 | 100% | 100% |
40代・50代では、矯正や埋伏歯による抜歯はほとんどなく、「むし歯」、「歯周病」、「破折」の三大疾患が抜歯原因の大部分を占めます。
歯を失ったときの治療法には何がある?
歯を失った部分を補う治療は、欠損補綴(けっそんほてつ)治療と呼ばれます。代表的なのには、入れ歯、ブリッジ、インプラントがあります。
どの方法にも向き不向きがあるため、「何を優先したいか(費用、見た目、手術の有無、長持ちしやすさ等)」を整理し、担当医と相談して決めるのが基本です。
部分入れ歯(部分床義歯)
部分入れ歯は、歯を何本か失ったときに使う、取り外し式の装置です。1本だけ失ったケースから、13本失った場合まで対応でき、対象の幅が広いのが特徴です。
総入れ歯(総義歯)
総入れ歯は、歯がすべてなくなったときに用いる装置で、上顎または下顎の歯ぐき全体を覆う形で作ります。
粘膜の形に合わせて吸着や安定を得る設計になり、部分入れ歯と違って「14歯欠損」の場合のみ総入れ歯を使用します。
実際には、最初から総入れ歯になるより、部分入れ歯の期間を経て長い時間をかけて移行することが一般的です。
ブリッジ
ブリッジは、欠損部の両隣の歯を支え(支台)にして、連結した被せ物で失った歯を補う固定式の方法です。取り外しは不要ですが、支えになる歯を削り、土台として利用する点が特長です。
インプラント
インプラントは、歯がない部分の骨にインプラント体を埋め込み、その上に人工の歯(上部構造)を取り付けて、かめる状態を回復させる治療です。固定式で使用感を重視する方に選ばれる一方、手術が必要になります。
欠損補綴治療を選ぶ際の基準
40代・50代で治療法を選ぶときは、治療費だけで決めるのは賢明ではありません。
「これから先、どれくらい維持できるか」「再治療が必要になったときの負担はどうか」といった長期目線が欠かせません。治療費、生存率(寿命)、審美性、手術の有無は治療法ごとに異なるため、優先順位を明確にして検討しましょう。
| 入れ歯 | ブリッジ | インプラント | |
|---|---|---|---|
| 治療費 | |||
| 生存率 | |||
| 審美性 | |||
| 手術の有無 | 手術なし | 手術なし | 手術あり |
ここでは、各項目の考え方と選び方のコツを整理します。
治療費・費用対効果
費用は「初期費用」だけでなく、「将来の再治療の起こりやすさ」まで含めて考えるようにしましょう。
インプラントは初期費用が高くなりやすい一方、長期で見ると再治療回数を抑えられる可能性があります。入れ歯は費用を抑えやすい反面、長持ちしにくい点が課題になりやすいです。ブリッジは条件が合えば中程度の費用で、比較的高い生存率を期待できることが強みです。
予算面を考えると保険治療がベストですが、インプラント治療は原則として保険適用はありません。
40代・50代の欠損補綴に「絶対の正解」はないため、口の状態と家計のバランスを踏まえ、歯医者とすり合わせることが重要です。
生存率(寿命)
治療がどれだけ長く機能するかを考える指標として、一般に「10年生存率」が用いられます。
目安として、入れ歯は約50%、ブリッジは30〜90%、インプラントは約90%とされます。特にブリッジは文献による幅が大きく、日本の保険診療における臼歯部ブリッジでは、10年生存率が約30%とするデータもあります。
海外のデータは基本的に自費治療が対象ですので、そのまま日本の欠損補綴治療の寿命に当てはめることは危険です。
数値はあくまでも平均的な値なので、欠損部位や残っている歯の状態、歯医者の技術などによってで大きく変わる点に注意が必要です。
審美性
審美性は「見た目への影響」を指します。
現在は材料や設計の選択肢が増えており、どの治療法でも審美的に仕上げることは可能です。「Aという治療=見た目が悪い」、「Bという治療=見た目が良い」とは一概に言えません。
ただし実際の仕上がりは、歯科医院の技術や選ぶ治療法、そして保険治療か自費治療かで差が出やすいのも事実です。
見た目を最優先するなら、審美治療に力を入れている歯科医院で相談し、自費も含めて検討すると選択肢が広がります。一般に、保険の部分入れ歯のクラスプや保険ブリッジは金属が見えやすく、見た目が気になる方が多いでしょう。
手術の有無
入れ歯(部分・総)とブリッジは、通常は外科手術を必要としません。一方、インプラントは外科処置が前提です。
「手術が怖い」「体への負担が不安」という気持ちが強い場合は、まず手術を伴わない治療法から検討するのもよいでしょう。
欠損補綴治療を行わない場合のデメリット
失った歯が少ない場合、食事や発音などに影響はほとんどないように感じることがあります。しかし欠損部をそのままにすると、周囲の歯や噛み合わせに影響が出るリスクがあるため注意が必要です。
欠損を放置すると、①欠損の前後の歯まで失いやすくなる、②前後の歯が倒れてくる(傾斜)、③向かい合う歯が伸びてくる(挺出)といった変化が起こり得ます。
実際に、欠損部を治療しなかった場合、隣在歯の10年後の推定生存率は81%で、19%が抜歯になったという報告があります。
傾斜については研究で差があるものの、問題となる傾斜の発生は10%程度かもしれないとされています。
挺出も報告にばらつきがありますが、欠損を放置すると82%で挺出が起きたとする研究もあります。
筆者の主観としては影響が少なくても、何らかの悪影響がゆっくりと進行していくことが多いように感じます。
The consequences of not replacing a missing posterior tooth
Vertical position, rotation, and tipping of molars without antagonists
歯医者からのアドバイス
欠損補綴治療には「これが絶対に正しい」というものはありません。40代・50代といえど、現在の平均寿命を考えると、まだ人生の折り返し地点です。
欠損補綴治療を決定する際には、まず「いくら治療費に使えるか」を明確にし、そのうえで生存率・審美性・手術の有無などを考慮すると簡潔です。
欠損が少ないケースではインプラントが標準的になりつつありますが、高い費用と手術が伴う点は必ず考慮しましょう。
信頼できる歯科医師と一緒に治療計画を立て、「納得して選べた」と思える形で決断することが最も重要です。
40代の入れ歯・ブリッジ・インプラントの装着割合
40代の入れ歯・ブリッジ・インプラントの装着割合を以下の通りです。40代においてはインプラント治療のみが行われているデータになっていますが、筆者の実感とは異なります。

40代の部分入れ歯と総入れ歯の使用割合
40代で入れ歯を使用している人の割合は1%程度です。40代における入れ歯使用の特長は、総入れ歯の使用者が存在することです。割合としては1%にも満たないですが、欠損歯数が多い場合には総入れ歯の使用も選択肢となるでしょう。
令和4年の歯科疾患実態調査の結果は以下の通りです。
40代後半では40代前半と比べ、部分入れ歯の装着割合は減少しています。しかし、総入れ歯の装着割合が増加していますので、入れ歯全体の装着割合は増加しています。

40代のブリッジの使用割合
40代のブリッジの使用割合は、多くの患者が希望する選択肢として位置づけられています。ブリッジは、隣接する健康な歯を支えにすることで欠損部分を補填するタイプの義歯です。欠損部分の審美性を保ちつつ、取り外しが必要ないという利便性から、人気がある治療法です。
日本においては保険治療の恩恵があることからブリッジが選択されることも多いです。40代のブリッジ装着割合を以下にまとめます。40代では1割の方がブリッジを装着しています。

40代のインプラントの使用割合
40代のインプラント使用割合は、年々増加傾向にあります。インプラントは骨に埋め込むタイプの人工歯根で、自然な歯と同様の機能性を持つため評価されています。
最新の統計調査の結果を以下に示します。特に40代後半では1%弱の方はインプラントを使用しているという実態が分かります。

50代の入れ歯・ブリッジ・インプラントの装着割合
50代で歯を失った場合の、入れ歯・ブリッジ・インプラントの装着割合を以下にまとめます。

50代の部分入れ歯と総入れ歯の装着割合
50代では1%以下ではありますが、総入れ歯が使用され始めています。部分入れ歯の装着割合は5%を超え、少ないながらも装着者数が増加してきていることが分かります。

50代のブリッジの使用割合
全ての欠損補綴治療のうち、50代でのブリッジ使用している割合を以下に示します。ブリッジの使用割合は高く、50代で最も選ばれている欠損補綴装置です。
50代では、3〜4人に1人はブリッジを装着しています。

50代のインプラントの使用割合
令和4年における50代のインプラント装着割合を以下に示します。治療費が高額になりやすいインプラント治療ですが、確実にニーズはあり、50代の約3%はインプラントを装着しています。

「40代・50代の入れ歯・ブリッジ・インプラントの割合と抜歯数」のまとめ
40代・50代の欠損補綴の割合を歯科疾患実態調査のデータを基に整理すると、40代はブリッジ10〜13%が中心で、部分入れ歯は約1%、総入れ歯はほぼ0%です。
50代では喪失歯の増加に伴い、ブリッジは25〜31%、部分入れ歯は5〜9%へ上昇し、インプラントも約3%の方が装着しています。
固定式のブリッジは噛みやすい反面、支台歯を削る・負担が増える点に注意が必要です。部分入れ歯は取り外して清掃でき、将来の拡大にも対応しやすい一方、違和感や外れやすさが課題です。
抜歯原因は40代はむし歯、50代で歯周病が主因に移るため、定期検診とセルフケアで進行を止めることが重要です。
「40代・50代の入れ歯・ブリッジ・インプラントの割合と抜歯数」のQ&A
- 40代で歯を失う割合は?
-
40代の喪失歯がある人の割合は、35〜44歳で23.6%、44〜54歳で40.0%です。40代の1人当たりの抜歯数は0.6〜1.4本です。
- 40代で入れ歯を使っている人はいますか?
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40代で入れ歯を使用している人はいます。40代で入れ歯を使用している人の割合は約1.2%です。
- 40代で総入れ歯の人はいますか?
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40代で総入れ歯を使用している人はいます。総入れ歯装着者割合は40代前半で0%、40代後半で0.7%です。
- 40代で部分入れ歯を使っている人はいますか?
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40代で部分入れ歯を使用している人はいます。部分入れ歯装着者割合は40代前半で0.9%、40代後半で0.7%です。
- 50代で歯を失う割合は?
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50代の喪失歯がある人の割合は、45〜54歳で40.0%、54〜64歳で63.7%です。50代の1人当たりの抜歯数は1.4〜3.0本です。
- 50代で入れ歯を使っている人はいますか?
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50代で入れ歯を使用している人はいます。50代で入れ歯を使用している人の割合は約7.5%です。
- 50代で総入れ歯の人はいますか?
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50代で総入れ歯を使用している人はいます。総入れ歯装着者割合は50代前半で0.6%、50代後半で0.7%です。
- 50代で部分入れ歯を使っている人はいますか?
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50代で部分入れ歯を使用している人はいます。部分入れ歯装着者割合は50代前半で5.2%、40代後半で8.8%です。


