入れ歯に変えたら「鼻の下が長い気がする」と感じることがあります。
原因は前歯の位置や厚み、かみ合わせの高さなどが関係します。本稿では、入れ歯と鼻の下の長さの関係を、歯医者が掘り下げます。
入れ歯で鼻の下が長くなる原因は?
入れ歯と鼻の下の長さの関係は、かみ合わせの高さと前歯の位置・床の厚みが影響します。
前歯の位置と床の厚みはリップサポートと呼ばれ、リップサポートは顔の見た目に大きな影響をおよぼすことがわかっています。
それでは、入れ歯で鼻の下が長くなる原因を詳しく見ていきましょう。
かみ合わせの高さが高すぎる
入れ歯治療は歯を失ったときに行われる治療です。歯がなくなってしまうと、本来のかみ合わせの高さも分からなくなってしまいます。
特に上下の総入れ歯治療では、歯医者が患者さんのお顔の状態を確認しながら、歯があった時代のかみ合わせの高さを再現していきます。専門的には垂直的顎間関係(すいちょくてきがくかんかんけい)の決定、または咬合高径(こうごうこうけい)の決定といいます。

かみ合わせの高さを高くしすぎるということは、口がぽかんと開いて、唇が閉じにくくなるということです。かみ合わせの高さを高くしても、唇は閉じようとしますので、上唇は下方向に、下唇は上方向に伸びていきます。
その結果、上唇の下縁(上唇の下唇側)が下に動き、鼻の下が長くなるように感じてしまいます。
前歯の位置が後ろ過ぎる
入れ歯治療では、患者さんのもともとの歯並びを想像して、人工歯の位置を決定していきます。専門的には人工歯排列(じんこうしはいれつ)といいます。
人工歯については下記の記事をご覧ください。

上唇は上顎の前歯によって、後ろ側からサポートされています。言い換えると、上の前歯が内側から上唇を前方に押し、上唇のボリュームを出しているということです。
前歯の歯並びの位置を後ろ側に設定してしまうと、上唇の張りが減少し、上唇の前方方向のボリュームが減少します。上唇の張りが減少すると、余った唇の皮膚の分だけ、上唇の下縁(上唇の下唇側)が下がり、上唇の長さが長くなります。

上唇のボリュームが減少して、上唇の長さが長くなることで、入れ歯を入れた後に鼻の下が長くなるように感じてしまします。
前歯部分の床(歯ぐき部分)が薄すぎる
入れ歯の前歯部分の床(しょう)の厚みをリップサポートといいます。
入れ歯の床については下記の記事で解説しています。

リップ=唇を内側からサポートすることです。リップサポートが弱いと、唇のボリューム減り、鼻の下のしわが増えてしまいます。逆にリップサポートが強いと、唇のボリュームが増え、鼻の下が膨らんだような印象を受けるようになります。
リップサポートは、前述した前歯の前後的な位置関係でも変化しますが、前歯を支えている床のボリュームや形態にも影響を受けます。
前歯の位置が適切でも、床の厚みが不足している場合、リップサポートが不足してしまい、上唇は後ろに下がり、その分だけ上唇の下縁(上唇の下唇側)が下がります。
上唇の下縁(上唇の下唇側)が下がるということは、鼻の下が長くなることを意味します。
入れ歯で鼻の下が長く感じた場合の対処法は?
入れ歯で鼻の下が長く感じた場合、どのような対処法があるのでしょうか?
歯医者で行われている鼻の下の長さの調整法をまとめました。
かみ合わせの高さを低くする
かみ合わせの高さが高すぎる場合には、かみ合わせの高さを低くして、顔のバランスを整えることで鼻の下の長さを改善できることがあります。
しかし、かみ合わせの高さを低くしすぎると、鼻の下にしわが寄ってしまい、年老いた印象になってしまうため注意が必要です。
前歯の位置を前方に移動する
前歯の位置を前方に移動することで、上唇を内側から押し、上唇の下縁(上唇の下唇側)の位置を調整できる場合があります。
前歯を前方に出し過ぎると、唇が閉じにくくなってしまったり、いわゆる「出っ歯」のようになってしまったりして、かえって見た目を悪化させてしまうこともあります。
前歯部分の床を厚くする
前歯部分の床を厚くすることで、リップサポートを強くして、鼻の下の長さをコントロールすることができる場合もあります。
一方で過度なリップサポートは、鼻の下に不自然な盛り上がりを作ってしまい、入れ歯を装着していることが周りから分かってしまうなどの見た目への悪影響も考えられます。


