入れ歯は毎日使用するものだからこそ、清潔な状態を保つことがとても大切です。しかし、ふと気がついたら入れ歯に白っぽい汚れや斑点が……もしかするとそれはカビかもしれません。
この記事では入れ歯に生えるカビの正体や、カビが引き起こす可能性のある重大な健康被害、具体的なカビの落とし方について詳しく解説していきます。
- 入れ歯に生えたカビの取り方・落とし方
- 入れ歯のに生えたカビの正体と発生原因
- 入れ歯のに生えたカビが引き起こす健康被害
「入れ歯に生えたカビの取り方・落とし方」の結論
入れ歯用ブラシと入れ歯洗浄剤を使用して、入れ歯に生えたカビを除去します。カビに特に有効な入れ歯洗浄剤は、次亜塩素酸ナトリウム系の入れ歯洗浄剤です。
入れ歯に生えるカビの正体
口腔内にはカンジダと呼ばれる真菌類が存在しています。真菌類はカビの仲間であり、入れ歯に生えるカビの主体は、このカンジダ菌です。カンジダ菌は健康な方のお口の中にも少数存在し、普段は悪さをすることは少ないです。
カンジダ菌にも種類があり、ある研究では少なくとも4種類のカンジダ菌が入れ歯から検出されたとしています。入れ歯の約65%でカンジダ菌が検出されています。

入れ歯にカビが生える原因
入れ歯にカビが生える原因は二つあります。
- 入れ歯をきれいに洗浄していない
- 入れ歯に清掃できない細かな隙間がある
入れ歯をきれいに洗浄しようとしても、入れ歯の細かな溝やヒビなどに入り込んだカビはなかなか取れません。
入れ歯に生えたカビを取らないといけない理由
入れ歯に生えたカビを取らないと、さまざまな問題を引き起こします。本項では、入れ歯に生えたカビが引き起こす問題を解説します。
誤嚥性肺炎を引き起こす
入れ歯に生えたカビを取らないと、入れ歯が不潔になり、入れ歯を装着している口腔内も不潔になります。口腔内が清潔に保たれていない状態で、唾液や飲食物が誤って気管に入ってしまう(誤嚥)と、誤嚥性肺炎を引き起こすリスクが高まります。
誤嚥性肺炎は、令和4年における死因の3.6%を占め、死亡原因の第6位となっています。
義歯性口内炎を引き起こす
義歯性口内炎とは、入れ歯に付着したカンジダ菌などのカビが、歯ぐきなどの口腔粘膜に炎症を引き起こす病気です。口腔粘膜のただれや、口腔粘膜からの出血を認めることがありますが、患者さんには自覚症状がないことも多いです。
入れ歯に汚れが多く付いている場合や、入れ歯洗浄剤を使用していない方に多く引き起こされることが分かっています。入れ歯を洗浄するだけでは治癒しない場合もあり、そのような際には抗真菌薬が使用されます。

高齢の方や免疫力が落ちている方がなりやすい病気ともいわれています。
口腔癌を引き起こす
義歯性口内炎に代表される口腔カンジダ症は、わずかですが癌化する可能性があるといわれています。口腔カンジダ症の中でも、肥厚性カンジダ症の癌化率は12.1%と高率です。
入れ歯に生えたカビの取り方・落とし方
入れ歯に生えたカビの取り方は、通常の入れ歯洗浄方法と同様です。


- 入れ歯を軽く水で流す
- ブラッシング用入れ歯洗浄剤を入れ歯につけ、入れ歯用ブラシでこすり洗いをする
- 入れ歯を水洗してから、入れ歯洗浄剤に漬ける
- 可能であれば超音波洗浄器を併用する
入れ歯に生えたカビに最も効果的な入れ歯洗浄剤は、次亜塩素酸ナトリウムと考えられています。しかし、次亜塩素酸ナトリウム系の入れ歯洗浄剤は家庭用のものが少なく、誤った使い方をしてしまうと入れ歯を痛めてしまいますので注意しましょう。
入れ歯の詳細な洗浄方法は、下記の記事をご覧ください。


まとめ
入れ歯に生えてしまったカビはなかなか落ちません。入れ歯が不潔になってしまわないように、日々のお手入れが大切です。
歯科医院には専用の入れ歯洗浄剤がありますので、カビが気になる場合には一度歯科医院に相談してみてはいかがでしょうか。
Q&A
「入れ歯に生えたカビの取り方・落とし方」に関連する質問を集めました。
- 入れ歯にカビが生えるのはなぜ?
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入れ歯は常に湿った状態で管理されます。入れ歯が不潔な場合、その湿った環境と相まって、カビが発生してしまいます。
- 入れ歯の黒カビはどうやって取り除きますか?
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入れ歯の黒カビは、入れ歯用ブラシや入れ歯洗浄剤を使用することで取り除けます。しかし、入れ歯の隙間などから奥深くまで入り込んだカビは、なかなか除去できません。