入れ歯を使っていると、いつの間にか黒ずみが気になってしまうことがあります。
そんなとき、「キッチンハイターを使えば落ちるのでは?」と考える方もいるかもしれません。しかし、入れ歯専用の製品ではないものを使用すると、思いもよらぬトラブルを引き起こしてしまいます。
この記事では、入れ歯の黒ずみの原因から安全な対策、そして効果的な黒ずみの落とし方まで詳しく解説します。
- 入れ歯の黒ずみにキッチンハイターを使用して良いのか?
- 入れ歯の黒ずみの落とし方
- 入れ歯の黒ずみの原因と対策
「入れ歯の黒ずみにキッチンハイターは使用して良いのか?」の結論
入れ歯の黒ずみを除去するために、キッチンハイターを使用してはいけません。キッチンハイターの主成分である次亜塩素酸ナトリウムは、高濃度で長時間使用してしまうと、入れ歯を痛めてしまいます。専用の入れ歯洗浄剤や歯科医院での入れ歯洗浄を行いましょう。
入れ歯の黒ずみの原因と対策
入れ歯の黒ずみの原因は、食品や飲料に含まれている色素(ステイン)が原因の場合が多いです。特にお茶やコーヒー、ワインなどに含まれているポリフェノールや、タバコに含まれているタールは茶色〜黒色の着色を生じます。
飲食物を摂取した際には、入れ歯を洗浄することで着色を予防できます。入れ歯の洗浄が難しい場合には、うがいをしたりお水を飲んだりして、お口の中の色素を洗い流すことが着色防止に有効です。
入れ歯の黒ずみを落とす方法
入れ歯の黒ずみの落とし方は、専用の家庭用入れ歯洗浄剤を使用するか、歯科医院で入れ歯を洗浄してもらうかです。
入れ歯の黒ずみをキッチンハイターで落とす
キッチンハイターの主成分は次亜塩素酸ナトリウムです。次亜塩素酸ナトリウムは、入れ歯洗浄剤にも使用される成分で、成分としては入れ歯の黒い汚れを落とすのに有用だと考えられます。
しかし、キッチンハイターはその名の通り、キッチン用品を漂白する製品です。入れ歯の黒ずみを落とすことは想定されていませんので使用は控えた方が良いでしょう。入れ歯洗浄剤よりも、キッチンハイターのほうが次亜塩素酸ナトリウムの濃度は高く、入れ歯の洗浄のためには過剰すぎる濃度です。

次亜塩素酸ナトリウムを含有しているキッチンハイターは、長時間使用することで金属に対して腐食作用を示すことが知られています。キッチンハイターに限らず、金属のパーツを含む入れ歯には、次亜塩素酸ナトリウムは使用しない方が安心です。
元々入れ歯の黒ずみを漂白する製品ではないことから、入れ歯に対する使用法は当然明記されていません。どのような製品も使用法を守って使うことが、入れ歯にとっても、からだにとっても安全です。
入れ歯洗浄剤で入れ歯の黒ずみを落とす
入れ歯洗浄剤にはいくつもの種類があります。その中でも、黒ずみなどの色素の漂白に有効とされているのは、次亜塩素酸系の入れ歯洗浄剤です。
次亜塩素酸系の入れ歯洗浄剤の多くは歯科医院でのみ使用できる製品がほとんどです。市販品で購入できる製品としては、サンデンタル株式会社が販売する「ラバラックムース家庭用」があります。ラバラックムース家庭用は、3%の次亜塩素酸ナトリウムを配合し、3〜5分で入れ歯の漂白を行える製品です。
筆者の知る限り、ドラッグストアなどの小売店では見かけたことがないため、インターネット通販サイトで購入することになるでしょう。
歯科医院で入れ歯の黒ずみを落としてもらう
歯科医院には、市販品ではない強力な入れ歯洗浄剤が用意されています。入れ歯の黒い汚れが気になったら、かかりつけの歯科医院に相談して見ましょう。歯科医院によっては、汚れの種類に合わせて複数の入れ歯洗浄剤を用意している場合もあります。

歯科医院では、入れ歯洗浄剤による洗浄だけでなく、超音波洗浄機を用いた機械的洗浄も併用されます。黒ずみ以外の汚れや細菌なども除去することができますので、困ったときは歯科医院を受診してください。
入れ歯の黒ずみが落ちない場合
歯科医院で入れ歯を洗浄しても、落ちない黒ずみが存在します。どのような場合には黒い汚れを落とすことができないのでしょうか。
入れ歯の金属が酸化してしまっている
金属のパーツを含む入れ歯の場合、金属が酸化して黒く変色してしまう場合があります。経年劣化でも酸化していきますが、「部分入れ歯専用の入れ歯洗浄剤」を使用しないことで、洗浄剤によって酸化してしまうこともあります。
一度酸化してしまった場合には、金属のパーツを機械的に研磨するか、金属のパーツを交換するしかありません。
細かな隙間に黒い汚れが沈着してしまった
特に修理を繰り返している入れ歯に多く見られる現象です。修理によってできた細かな隙間に色素が沈着してしまうと、洗浄液が十分に浸透せず、入れ歯洗浄剤で黒ずみを落とすことは困難になってしまします。
そのような場合には新しく入れ歯を作ることが第一選択となります。つぎはぎのないきれいな入れ歯を作ることで、黒ずみが付きにくくなります。
正しい入れ歯の洗い方
入れ歯の洗い方にはいくつかポイントがあります。
- 義歯用ブラシで機械的に洗う
- 入れ歯洗浄剤で化学的に洗う
- 毎日入れ歯洗浄剤を使用する
入れ歯の正しい洗い方については、下記の記事で詳しく紹介しています。

まとめ
入れ歯の黒い汚れをとるためには、キッチンハイターではなく、次亜塩素酸ナトリウム配合の入れ歯洗浄剤の使用や、歯科医院での漂白が有効です。
入れ歯専用ではない商品を使用することで、入れ歯やからだにも悪影響が生じることがあります。迷った際には必ず歯科医師に相談してください。
Q&A
「入れ歯の黒ずみにキッチンハイターは使用して良いのか?」に関連する質問を集めました。
- 入れ歯の黄ばみや黒ずみを取る方法は?
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次亜塩素酸ナトリウムが配合された入れ歯洗浄剤を使用するか、歯科医院での洗浄をお願いしましょう。入れ歯に歯石が付着して黄ばんでいる場合には、次亜塩素酸系の洗浄剤ではなく、酸を主成分とする洗浄剤が有効です。
- 入れ歯が黒くなる原因は?
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入れ歯が黒くなる主な原因は、飲食物やタバコに含まれる色素です。金属を使用した入れ歯では、「部分入れ歯専用の入れ歯洗浄剤」を使用しないことによって、金属が酸化して黒くなることがあります。