入れ歯が割れてしまったら、修理費用が気になります。ここでは現役の歯科医師が、入れ歯が割れた時の修理費用について解説します。
- 入れ歯が割れたときの修理費用
- 入れ歯を再作成するときの費用
「入れ歯が割れたときの修理費用」の結論
入れ歯が割れたときの修理費用は、自費治療と保険治療で大きく異なります。自費治療の場合の修理費用は、10,000〜100,000円です。保険治療の場合の修理費用は、2,000〜3,000円です。
入れ歯のどこが割れたかで修理費用は異なる
入れ歯はさまざまなパーツによって構成されます。どのパーツが割れてしまったかによって、修理費用も異なります。

入れ歯のパーツの名称については下記の記事を参考にしてください。

義歯床が割れた場合
義歯床(ぎししょう)とは、入れ歯のピンクの部分です。歯ぐきに代わる部分であり、人工歯や各種装置をつなぐパーツでもあります。
特に総入れ歯や大きい部分入れ歯では義歯床が割れてしまうことがあります。原因としては、強い噛み合わせの力や入れ歯を落としてしまったなどが考えられます。
義歯床が割れてしまった場合には、即日で修理ができることがほとんどです。
人工歯が割れて(とれて)しまった場合
人工歯(じんこうし)とは、入れ歯に装着されている歯の代わりとなるパーツです。人工歯は義歯床と接着していますが、とれてしまうこともあります。
人工歯がとれてしまった場合も、即日で修理できることがほとんどです。歯科医院を受診する際には、とれてしまった人工歯を持参しましょう。人工歯をなくしてしまった場合でも、入れ歯を専門とする歯科医院では、多数の人工歯のスペアを持っていますので心配はいりません。
人工歯が割れてしまっても即日で修理はできますが、一度とれてしまった人工歯は再びとれてしまうことも少なくありません。何度もとれてしまう場合には、再作成も検討しましょう。

とれてしまった人工歯を元に戻したとしてもツギハギになってしまい、以前のようにはきれいに戻せないこともあります。
クラスプなどの金属パーツが割れてしまった場合
義歯床や人工歯とは異なり、金属のパーツが割れてしまった場合には即日の修理が困難です。一般的な入れ歯を一度預かり、技工士に修理をお願いすることになります。
クラスプが割れてしまった場合には、入れ歯を預からずに修理することも可能です。当時は最低限入れ歯を使えるように調整し、歯型を取ります。後日、歯型に合わせて新しいクラスプが出来上がってきますので、入れ歯に合うように修理します。
いずれにしても、歯科医院を受診した当日に修理が完了することはまれです。金属のパーツが割れてしまった際には余裕をもって歯科医院を受診しましょう。
自費治療と保険治療で入れ歯の修理費用は異なる
入れ歯が割れた際の修理費用は、自費治療で作った入れ歯か、保険治療で作った入れ歯かによって異なります。自費治療の修理費用は、各歯科医院が決定していますので、受診する歯科医院に問い合わせるほうが確実です。
割れた入れ歯を自費治療で修理するときの費用
割れた入れ歯を自費治療で修理する際の費用は、各歯科医院によって異なります。一般に、義歯床や人工歯など、即日で修理できる場合は安価で済むことが多いです。
一方で金属のパーツが割れてしまった場合には、修理費用は高価になります。
自費治療の入れ歯の修理費用の目安は、10,000〜100,000円です。正確な金額は歯科医院を受診しなければ分かりませんので、早めに受診するようにしましょう。
割れた入れ歯を保険治療で修理するときの費用
割れた入れ歯を保険治療で修理するときの費用は、2年に一回変更になる場合があります。ここでは令和5年時点での保険点数を参考に、修理費用を解説します。記載している価格は、窓口負担が三割の患者さんの場合です。



窓口負担が一割の場合、本記事で記載している金額の1/3の修理費用となります。
義歯床が割れてしまったときの保険治療の修理費用
初診料が約1,000円、再診料が約200円です。割れた義歯床の費用が、900〜1,200円、調整料が約400です。合計すると2,000円前後で義歯床の修理ができることになります。
人工歯が割れて(とれて)しまったときの保険治療の修理費用
人工歯が割れてしまった場合の修理費用は、義歯床が割れてしまったときの修理費用と大きく変わりません。新しい人工歯を使用する場合には「人工歯料」が加算されますので、200円前後料金が高くなることがあります。
したがって、人工歯が割れてしまった場合も、2,000円前後が修理費用となります。
金属パーツが割れてしまったときの保険治療の修理費用
クラスプなどの金属のパーツが割れてしまった場合の修理費用も、義歯床が割れたしまった場合と基本的な修理費は同じです。
違う点としては、型取りの費用が加算される点と、壊れたパーツの費用が加算される点です。型取り代は約100円、最も一般的なエーカースクラスプの費用は約800円です。使用する金属によっては高額になる場合もありますので、事前に確認が必要です。
コバルトクロム合金を使用した場合の金額は、約3,000円です。クラスプの金属の種類については、下記の記事で解説しています。


入れ歯が割れたときに修理するか再作成するか
入れ歯の寿命のでもある10年生存率は、約50%と考えられています。長期間使用した入れ歯は、修理することが困難な場合もあります。
修理か再作成かの判断は歯科医師に任せるほうが良いでしょう。日本では、保険治療における入れ歯の治療費は格安に設定されています。新しく総入れ歯を作製した場合でも、約10,000の負担です。
頻回に修理するよりも、新しく作製したほうが良い場合も多いので、歯科医師とよく相談してください。新しく入れ歯を作製する際の費用については、下記の記事で紹介しています。


まとめ
入れ歯が割れたときの修理費用は、自費治療と保険治療で大きく異なります。保険治療の修理では、2,000〜3,000円の修理費用となります。自費治療の入れ歯が割れたときには、事前に歯科医院に確認すると良いでしょう。
Q&A
「入れ歯が割れたときの修理費用」に関連する質問を集めました。
- 総入れ歯の作り直しにかかる費用は?
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総入れ歯の作り直しに価格費用は、約10,000円です。治療期間は約2か月です。
- 入れ歯を再作成するには保険がききますか?
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保険治療の入れ歯を再作成する場合は保険がききます。