入れ歯を長く快適に使うためには、毎日の清掃が欠かせません。
本記事では、入れ歯を清潔に保つ重要性や、普通の歯ブラシとの違い、最適な入れ歯用歯ブラシの選び方を解説します。さらに、購入できる場所やおすすめ商品10選、正しい使い方とお手入れ方法も紹介。
入れ歯安定剤の落とし方や介護現場での活用法まで網羅し、あなたの入れ歯ケアを総合的にサポートします。
- 入れ歯用歯ブラシは使用したほうがよいか?
- 入れ歯用歯ブラシと普通の歯ブラシの違い
- 歯医者おすすめの入れ歯用歯ブラシとは?
1分でわかる!入れ歯用歯ブラシの完全ガイド
入れ歯用歯ブラシは普通の歯ブラシと異なり、「やわらかめ」「かため」などの毛の硬さのバリエーションはありません。
入れ歯用歯ブラシの特徴は以下の3点です。
- 入れ歯用歯ブラシは口腔外で使用するため、ヘッドが大きく両面にブラシを備え、部位に応じた使い分けが可能
- 毛先は硬めでフラットカットが一般的で、汚れを効率的に除去できる
- 持ち手は太く握りやすい形状で、高齢者や握力の弱い方でもしっかり清掃できるよう設計
入れ歯の汚れを放置すると、落ちにくいデンチャープラークが形成され、口臭や義歯性口内炎、誤嚥性肺炎の原因となり、入れ歯の寿命を縮める可能性があります。
入れ歯を正しく洗浄するためには「入れ歯用歯ブラシ」の使用が効果的です。形状や持ち手の太さなど、自分に合ったブラシを選び、正しい使い方と定期交換を心がけましょう。
入れ歯用歯ブラシは薬局・100均・通販・歯科医院などで入手可能です。
入れ歯を清潔に保つことの重要性
入れ歯を長持ちさせ、快適な口腔環境を維持するためには、毎日の入れ歯清掃が欠かせません。衛生管理を怠ると、むし歯や歯周病、口臭などのリスクを高めるだけでなく、入れ歯自体の変色や劣化も進みやすくなります。
市販の入れ歯用歯ブラシや専用洗浄剤などを活用し、正しいお手入れ習慣を身につけることで、清潔で健康的な口腔環境を保ちましょう。
毎日の入れ歯ケアが必要な理由
入れ歯は本来の歯と同じく、毎日しっかりケアすることが健康維持には不可欠です。入れ歯には食べかすやプラーク(歯垢)が付着しやすく、放置すると口臭や感染症、義歯性口内炎の原因にもなります。
特に高齢者や介護を受けている方の場合は、口腔ケアが誤嚥性肺炎をはじめとする全身疾患の予防にもつながるため、入れ歯用歯ブラシなどの専用の道具で丁寧に入れ歯をケアすることが大切です。
入れ歯の清掃頻度については下記の記事で解説しています。

入れ歯に付着する汚れ
入れ歯には食べかすだけでなく、プラークやバイオフィルムと呼ばれる細菌の塊、さらには着色汚れや入れ歯安定剤の残りなどが付着します。
食べかすはお水で流すだけでも落ちますが、プラークになってしまうと水だけでは落ちません。着色汚れに至っては、ブラシだけで落とすことは難しく、入れ歯洗浄剤による清掃が必要になることもあります。
これらの汚れは一般的な歯ブラシでは落としずらく、清掃時間も長くかかってしまいます。専用の入れ歯用歯ブラシを用いることで、面積の大きい部分は幅広の毛先で、細かい部分は細い毛先を用いて効率的に清掃が可能です。
汚れを放置するとどうなる?
入れ歯に汚れを放置してしまうと、細菌が増殖し、細菌の塊であるプラークが形成されます。特に入れ歯に付着するプラークが「デンチャープラーク」です。
デンチャープラークは、口臭や義歯性口内炎、口腔カンジダ症などの感染症などにつながる恐れがあります。時間が経つほどデンチャープラークは厚くなり、入れ歯用歯ブラシでも落としにくくなっていきます。
日々の入れ歯用歯ブラシによるケアが、これらのトラブルの予防に重要です。
入れ歯の寿命を延ばすためにも義歯清掃が大切
正しい入れ歯の手入れを習慣化することで、入れ歯の寿命が長くなる可能性があります。
義歯の清掃不足によって、残存している天然歯がむし歯や歯周病にかかりやすくなってしまい、抜歯しなければならないかもしれません。さらに不潔な義歯を使用していると、義歯性口内炎の発症率が上がり、歯ぐきが痛くなってしまいます。
入れ歯の清掃を怠ることで、天然歯がなくなったり、入れ歯と歯ぐきの適合が悪化したりして、結果として入れ歯の寿命が短くなってしまうことが示唆されています。
入れ歯専用歯ブラシは必要?普通の歯ブラシとの違い
入れ歯の清掃には、専用の入れ歯用歯ブラシを使うことが重要です。普通の歯ブラシでは落としきれない汚れや、入れ歯洗浄の効率、ブラシの握りやすさなど様々な違いがあります。
部分入れ歯や総入れ歯に適したブラシを選ぶことで、より衛生的で効率よくお手入れできます。
入れ歯用歯ブラシの特徴と役割
入れ歯用歯ブラシは、入れ歯の形状や材質に合わせて設計されており、広い面積のブラシと細部用のブラシが一体型になっているものも多いです。
通常の歯ブラシよりも毛質は硬く、「かため」「やわらかめ」などの毛の硬さのバリエーションはないのが一般的です。ブラシの毛が硬いため、入れ歯に付いた汚れを効率的に除去できます。
入れ歯用歯ブラシは、持ち手の形状も異なります。通常の歯ブラシよりも持ち手が太く設計されていて、手のひらで握るように持つことで、力が弱い高齢者でもしっかりと入れ歯をこすり洗いすることが可能です。
入れ歯用歯ブラシと通常の歯ブラシの違い
普通の歯ブラシは天然歯向けに設計されているため、口腔内で使用できるようにヘッドが小さいです。入れ歯用歯ブラシは口腔外で使用するため、効率的に汚れが除去できるように大きいヘッドをしています。
口腔外で使用するブラシであるため、ブラシをヘッドの両面に設置することができ、入れ歯の部位にあわせた使い分けが可能です。
毛先の硬さにバリエーションはなく、各メーカーともに特徴に大きな差はありません。一般的には硬めで毛の先端がまっすぐにカットされた「フラットエンド」の毛先が多いです。天然使用の歯ブラシでは、毛先の形状や毛の硬さ、毛の材質など、製品によって数多くのバリエーションが存在します。
入れ歯用歯ブラシでは、持ち手部分が太く、握りやすい形状となっています。高齢者向けの天然歯用歯ブラシの持ち手も太く設計されていますが、筋力が弱くなった高齢者がブラシをしっかり握るには太いグリップが便利です。天然歯用の歯ブラシでは、グリップの形状や太さも多種多様です。
普通の歯ブラシを使うリスク
市販の普通の歯ブラシを入れ歯に使うと、ブラシの面積が小さいため、入れ歯の清掃に時間がかかってしまいます。また、毛先の硬さもやわらかめのものが多いため、効率的に汚れを落とせません。
普通の歯ブラシは、研磨剤が配合された歯磨き粉を併用する点や、歯ぐきなどの軟組織にぶつかってしまう点に配慮し、歯や歯ぐきに優しい設計になっています。
入れ歯を清掃する際は、研磨剤配合の歯磨き粉は使用しませんし、口腔外で清掃するために歯ぐきを保護する必要もありません。
さらに、 部分入れ歯のバネ(クラスプ)部分の清掃が困難なのも、普通の歯ブラシの特徴です。ヘッドの形状が邪魔をして、クラスプ周囲の汚れをきれいに除去できません。
義歯用ブラシを使うメリット
義歯用ブラシは入れ歯の裏側(粘膜面)やクラスプなど普通の歯ブラシでは届きにくい箇所までしっかり清掃できる形状になっています。
入れ歯用歯ブラシを使用することで、入れ歯をしっかりと清掃しながら、清掃効率を高めることが可能です。
入れ歯を衛生的に保つことで、細菌の増殖や異臭・炎症の予防につながり、長期間快適に義歯を使用できるメリットがあります。入れ歯の清潔と清掃の効率を重視する方には、専用ブラシの使用がおすすめです。
普通の歯ブラシで入れ歯を磨いてもいいの?
一般的な歯ブラシで入れ歯を磨くことはできますが、細かい部分の汚れが落ちにくく、ブラシの硬さによっては汚れが落としにくいというデメリットがあります。やはり入れ歯用歯ブラシを使った方が簡単で衛生的です。
旅行先などで入れ歯用歯ブラシを忘れてしまった場合には、普通の歯ブラシを応急的に使用しましょう。旅行先での入れ歯のケア方は下記の記事で紹介しています。

電動歯ブラシで入れ歯を磨いても大丈夫?
電動歯ブラシで入れ歯を磨くことは禁止ではありませんが、一般的ではありません。電動の製品を使用したい場合は、超音波洗浄器を使用しましょう。
超音波洗浄機を使用する場合でも、手磨きを併用することが基本です。
入れ歯用歯ブラシの選び方とポイント
入れ歯用歯ブラシには様々な形・材質・特徴があります。自分の入れ歯や使用シーンに合わせて適切なブラシを選ぶことで、より快適で確実な清掃が行えます。
入れ歯用歯ブラシの選び方のポイントを押さえましょう。
ブラシ形状:大きめブラシ+小さめブラシが便利
入れ歯用歯ブラシの多くは、入れ歯全体を広く磨ける大きめブラシと、細かい部分や隙間をしっかり届く小さめブラシが一体となっており、効率良く全体の清掃が行えます。
特に部分入れ歯をケアする際に、は細部へのアプローチや、留め金部分の汚れ落としに入れ歯用歯ブラシは適しています。
ブラシの硬さ:普通の歯ブラシとは違いブラシ硬さは選べない
入れ歯用歯ブラシは通常の歯ブラシのように「やわらかめ」「ふつう」「かため」といった硬さを選べないことが一般的です。やや硬めに作られていることが多いので、しっかりとした洗浄力が得られます。
ただし力を入れすぎると義歯を傷つけるので、優しい力加減で磨くよう心がけましょう。
ヘッドの形状:自分が使いやすい形状を選ぶ
ヘッドの大きさや形は使う人の好みによって合う・合わないがあります。広範囲を効率的に磨ける大きめヘッドや、細かい部分に届きやすい細長いヘッドなどバリエーションが豊富です。
特に義歯の形状や大きさ、ご自身の手の大きさや動かしやすさに合わせて、最も使いやすい形状を選ぶとよいでしょう。総入れ歯などの大きい入れ歯には大きめのヘッドが磨きやすいです。
持ち手の形状:太くて滑りにくいグリップが扱いやすい
入れ歯用歯ブラシの持ち手には、太めでしっかり握りやすい形状のものが多いです。握力が弱い高齢者や介護シーンでもコントロールしやすく、安心して使えます。
持ち手がラバー加工されていて、滑りにくく配慮された製品も存在します。
部分入れ歯には小回りの利く先端ブラシが便利
部分入れ歯の場合、細かい部位や複雑な隙間が多いため、小回りの効くとがった毛先のブラシが最適です。装着部分や金属バネの隙間までブラシが届くことで、磨き残しを減らすことができます。
入れ歯用歯ブラシはどこで買える?
入れ歯用歯ブラシは薬局やドラッグストア、100均(ダイソーやセリアなど)、スーパーやホームセンター、そして通販サイトと幅広く市販されています。
種類の豊富さでは通販サイトでの購入に勝るものはありません。しかし使用法などのアドバイスを受けることはできないので、使い方も知りたい場合には、歯医者で購入するのがよいでしょう。
ドラッグストア・薬局での入れ歯用歯ブラシの取り扱い状況
多くのドラッグストアや薬局では、入れ歯用歯ブラシが市販されています。
一般的には「ポリデントの入れ歯用歯ブラシ」が売られていることが多いです。取り扱っている入れ歯用歯ブラシの種類は少ないことがほとんどです。
ダイソー・セリアなどの100均で買える入れ歯用歯ブラシ
ダイソーでは入れ歯ケースに付属している、入れ歯用ブラシが手に入ります。入れ歯用ケースと入れ歯用歯ブラシを併せて100円で購入できるのでお得です。
ワッツ (Watts)では、入れ歯用歯ブラシ単体が購入可能です。白を基調としたシンプルな設計ですが、細い毛先の位置がやや使いにくそうです。
筆者が調べた限り、セリアをはじめとするほかの100均では入れ歯用歯ブラシは見つかりませんでした。
入れ歯用歯ブラシは店舗によっては100均でも手に入るため、気軽に試せるのが魅力です。予備や旅行用としても便利なのです。
ホームセンターやスーパーで入れ歯用歯ブラシ
ホームセンターや大型スーパーの衛生用品コーナーでも、入れ歯用歯ブラシが入手可能です。ドラッグストアと同様で、取り扱い商品の種類は少ないでしょう。
歯科医院では入れ歯用歯ブラシについて相談して購入できる
歯科医院では、患者の入れ歯の形状や使用状況に合わせて最も適した入れ歯用歯ブラシを購入できます。入れ歯の手入れ方法の指導も受けられるので、初めて入れ歯を使う方や使用習慣に不安がある方におすすめです。
歯科医院でも入れ歯用歯ブラシの取り扱いは数種類と少ないのが現状です。気になる製品がある場合、受注発注してくれる歯医者もありますので、欲しい商品がある場合はスタッフに相談してください。
Amazon・楽天などの通販サイトで選ぶ入れ歯用歯ブラシ
Amazonや楽天といった大手通販サイトでは、種類豊富な入れ歯用歯ブラシを比較・購入できます。口コミやランキングを参考に自分に合った商品を見つけることも可能です。
入れ歯用ブラシおすすめ人気商品10選
入れ歯用歯ブラシの中でも特に人気の定番商品や、おすすめ度の高いブランドを10選に厳選してご紹介します。
ポリデントなどの市販品から、100均やドラッグストア、インターネット通販で購入できる商品まで幅広くピックアップしています。
ピジョン | 入れ歯洗浄ブラシ
ピジョンの入れ歯洗浄ブラシは、しっかりとしたコシのあるブラシが特徴で、入れ歯の大きな面も細かい部分も効率良く洗浄可能です。手にフィットしやすい持ち手や優れた耐久性で、毎日の入れ歯手入れにもおすすめ。市販の中でもユーザー満足度が高く、初めて専用ブラシを選ぶ方にも適しています。
ライオン DENT. | 義歯ブラシ
持ちやすい丸みのあるハンドルと、義歯全体に適したやや軟らかめの透明毛、細かな部位にはやや硬めのパープル毛という硬軟2種の植毛によって、広い面から細かい部分まで効率よく清掃できる、ベーシックタイプの義歯ブラシです。
アース製薬ポリデント | ポリデント入れ歯の歯ブラシ
ポリデント 入れ歯の歯ブラシは、入れ歯のために開発された専用ブラシで、広い面には山切りカット、くぼんだ部分にはドーム(丸型)カットという異なる2種類のブラシ方式を採用。これにより、歯と歯の間や凹凸部もしっかり清掃できる設計です。
アース製薬ポリデント | 部分入れ歯専用ブラシ
部分入れ歯・マウスピースにも使える専用ブラシで、握りやすい柄と親指で支えるヘッドにより狙いやすく清掃しやすい設計。やわらかい毛を採用し、入れ歯を傷つけないやさしい仕上がりです。泡ウォッシュとの併用で、普段届きにくい部位までしっかり洗浄可能となります。
サンスター | 義歯用ハブラシ
サンスター「義歯用ハブラシ」は、義歯の清掃に適した専用設計で、耐薬品性に優れたポリプロピレン製ハンドルを採用。義歯に付着したしつこい汚れを効果的に除去し、清潔な状態を維持することで口腔の健康をサポートします。
GC(ジーシー) | プラティカ デンチャーブラシ
義歯の毎日のお手入れを快適にするデンチャーブラシ。クラスプなどの細部から人工歯列まで効率よく磨けるよう、異なる硬さの毛を組み合わせたツインタフト構造を採用しています。
セイワ・プロ | 2Way入れ歯用ブラシ
2Way入れ歯用ブラシ」は、広い面用のベースブラシ(毛のかたさ:普通)と、金属部や入れ歯間パーツなど狭い部分を掃除するパーツブラシ(毛のかたさ:かため)を1本に備えた二刀流構造。柄はポリプロピレン製、毛はナイロン、全長約157 mmで、1セット12点入りの製品です。
BSAサクライ | 義歯ブラシ(ブルーブラシ)
B.S.Aサクライ「ブルーブラシ」は、リーズナブルな価格と洗練されたデザインが特長の人気義歯ブラシ。7タフトの山切りカットでポイント磨き、33タフト高密度植毛ナイロンで広い面を一度に清掃でき、通常のブラシで落としにくい汚れも効率よく除去できます。全長150mm、ブリスターパック1本入りとケース(12本)入りの2タイプ展開です。
松風 | 義歯清掃用ブラシ
松風「義歯清掃用ブラシ(ラクシデント)」は、義歯専用に設計された機能的デザインのブラシで、2つの植毛を持つ「ツインタフト構造」により、やわらかな素材が義歯を傷つけずに清掃できます。カラーバリエーションはグリーンとイエロー、1本入り包装です。
ライテック | 義歯ブラシ
ライテック「義歯ブラシ」は、毛先を山型カットにすることで義歯床にフィットしやすく、太めのグリップで握りやすい設計です。局部義歯用には、クラスプ洗浄に適した角状ブラシを備え、細部まで効果的に清掃できます。
入れ歯用ブラシの正しい使い方とお手入れ方法
入れ歯用歯ブラシは、毎日の義歯清掃を効率よく、かつ的確に行うためになくてはならないアイテムです。
ここでは入れ歯洗浄の基本ステップや、正しい使い方・お手入れ方法、洗浄剤や歯磨き粉の選び方など、総入れ歯・部分入れ歯にも役立つポイントを解説します。
入れ歯清掃の基本ステップ
入れ歯はまずぬるま湯で軽く汚れを流し、入れ歯用ブラシを使って全体を丁寧に磨きます。力を入れすぎず、細かい隙間や裏側も忘れず清掃しましょう。
その後、入れ歯洗浄剤を使って更に洗浄することで、より清潔な取り扱いができます。毎食後に軽い清掃と、就寝前のしっかりした清掃を行うことが理想的です。
入れ歯の正しいお手入れ方法の詳細については下記の記事をご参照ください。

入れ歯をブラシで磨く際のコツと注意点
入れ歯を磨くときは必ず外してから行い、力を入れすぎず優しく左右に動かすのがポイントです。金属バネや隙間部分、裏側のバイオフィルムも忘れず洗いましょう。
洗面台にタオルなどを敷くか、洗面台に水を張っておくと、万が一落としても破損防止できます。清掃後はしっかりすすぎ、残った洗浄剤や汚れを洗い流します。
入れ歯洗浄剤の正しい使い方
入れ歯洗浄剤は、ぬるま湯または常温の水に洗浄剤を溶かし、入れ歯を規定時間浸すことで除菌・消臭が行えます。ブラシ洗いと併用することで、入れ歯のよごれを効果的に除去できます。
就寝前のルーチンとして取り入れるのが衛生的です。
入れ歯を装着したまま歯ブラシで磨かない
入れ歯の手入れは必ず外した状態で行うのが基本です。装着したままブラシで磨いても、裏側や細部の汚れが落ちにくいうえ、入れ歯を傷つけてしまう場合があります。
残っている歯がある場合には、自分の歯も十分に清掃できませんので、むし歯や歯周病にかかるリスクが高くなります。
入れ歯は外して洗い、自分の歯も入れ歯が入ってない状態で歯磨きしましょう。
入れ歯に歯磨き粉は使っていいの?
入れ歯の清掃には通常の歯磨き粉はおすすめできません。一般的な歯磨き粉は研磨剤が配合されていることが多く、入れ歯表面に細かい傷をつけてしまいがちです。
入れ歯を磨く際は、入れ歯専用の歯磨き粉で磨くことが推奨されています。おすすめの入れ歯用歯磨き粉は下記の記事をご覧下さい。

入れ歯用歯ブラシの交換時期とお手入れ方法
入れ歯用歯ブラシも3か月に1回を目安に交換するのが衛生的です。毛先が開いたら早めの交換しましょう。毛先が開いたブラシでは、効率的に汚れを落とすことができません。
使用後は流水ですすいで水気をよく切り、風通しのよい場所で保管しましょう。定期的に入れ歯洗浄剤でブラシ自体も除菌するのも効果的です。
筆者のおすすめは、入れ歯を入れ歯洗浄剤につけ置きする際に、入れ歯用歯ブラシも一緒につけてしまうことです。
入れ歯安定剤は入れ歯用歯ブラシで落とせる?
入れ歯安定剤は、入れ歯の安定性と快適さをサポートするために使われるアイテムですが、落とし残しは衛生トラブルの原因にもなります。
入れ歯用歯ブラシと専用の洗浄剤を使った丁寧な清掃がカギとなります。
入れ歯安定剤とは?
入れ歯安定剤とは、義歯の装着性を高めて違和感を減らし、日常の食事や会話をサポートするためのペースト状・パウダー状の製品です。
ただし、落としにくい場合があり、専用の手入れ(入れ歯用歯ブラシや入れ歯洗浄剤)による清掃が重要です。
入れ歯安定剤の正しい使い方
入れ歯安定剤は適量を取り、入れ歯に均一に広げてから装着します。日々の使用後は、安定剤が残らないよう入れ歯用歯ブラシで丁寧に除去しましょう。
安定剤の残りが多いと十分に洗浄できず、汚れが蓄積してしまいます。
入れ歯用歯ブラシを使った入れ歯安定剤の落とし方
入れ歯用歯ブラシで安定剤の残りを除去する場合、まずはガーゼやキッチンペーパーなどで、大まかに入れ歯安定剤を除去してしまいましょう。その後、温水でふやかしながらブラシでこすり落とすのがコツです。
入れ歯用歯ブラシでこする際には、「ラバラックムース家庭用」という入れ歯安定剤を溶かす専用の製品を使用すると、より簡単に入れ歯安定剤が除去できます。
洗浄後は必ず水ですすいで、清潔に保管しましょう。
介護現場・高齢者向けの入れ歯用ブラシ活用法
介護現場や高齢者の方の入れ歯手入れには、安全性や使いやすさが特に重要です。市販の入れ歯用歯ブラシや100均アイテムの活用、手が弱い方でも扱いやすいデザインなど、介護目的で選ぶ際のコツやおすすめグッズについて紹介します。
介護用ブラシの選び方と便利なグッズ
介護用には太めで握りやすいハンドルや、滑り止め加工などがおすすめです。予備用のブラシや入れ歯ケース、入れ歯洗浄剤とセットで使うとより衛生管理がしやすくなります。
100均やドラッグストアでも福祉用品コーナーに介護向け入れ歯ブラシが揃っている場合があります。
入れ歯用歯ブラシを使用して入れ歯を清潔に保つメリット
入れ歯用歯ブラシによる入れ歯の機械的清掃は、世界的に見てもスタンダードな入れ歯のケア法です。入れ歯用歯ブラシを用いて入れ歯を清潔に扱うことで、義歯性口内炎が減少し、誤嚥性肺炎とそれに関連する死亡率を低減することが可能です。
単に「汚い」というだけでなく、入れ歯の不衛生は命にも直結します。免疫力が落ちた方も入所されているような介護施設では、より密な入れ歯ケアが必要です。
まとめ
入れ歯用歯ブラシは口腔外で使うためヘッドが大きく、両面ブラシで部位ごとに使い分けが可能です。硬めでフラットカットの毛先が汚れを効率的に除去し、太く握りやすい持ち手は高齢者にも適しています。入れ歯の汚れ放置は口臭や義歯性口内炎、誤嚥性肺炎の原因となるため、自分に合った入れ歯用歯ブラシを選び、正しい洗浄と定期交換を心がけましょう。
Q&A
「入れ歯用歯ブラシ」に関連する質問を集めました。
- 部分入れ歯は普通の歯ブラシで磨けますか?/部分入れ歯を歯ブラシで洗ってもいいですか?
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部分入れ歯は普通の歯ブラシで磨くことができますが、普通の歯ブラシではクラスプ周囲の細かい部分が十分に磨けません。細いブラシが付属した入れ歯用歯ブラシを使用したほうが、丁寧な清掃ができるでしょう。
- 入れ歯の手入れにはどんな歯ブラシを使いますか?/入れ歯は何で磨く?
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入れ歯の手入れには入れ歯用歯ブラシを使用してください。効率的かつ効果的に入れ歯の汚れを落とせるように設計されています。
- 入れ歯用歯ブラシと普通の歯ブラシの違いは何ですか?
-
入れ歯用歯ブラシと普通の歯ブラシの違いはたくさんあります。まず、入れ歯用歯ブラシは口腔外で使用するため、ヘッドが大きく両面にブラシを備え、部位に応じた使い分けが可能となっています。次に、毛先の硬さのバリエーションは少なく、でフラットカットが一般的で、汚れを効率的に除去可能です。最後に、持ち手は太く握りやすい形状で、高齢者や握力の弱い方でもしっかり清掃できるよう設計されています。
- 入れ歯用歯ブラシの交換時期はいつですか?
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明確なルールはありませんが、3か月に一度を目安に入れ歯用歯ブラシは交換することをおすすめします。入れ歯用歯ブラシを交換せずに使うと、不潔なだけでなく、毛先が傷んでしまい十分に汚れを取ることができなくなってしまいます。